中国奮闘記(26)

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ビッグサイトに降り立った僕は何をしていたか?

 
いわゆるアクセサリー交易会というやつに参加していた。当時上海で街を歩いていると、非常に安い値段でシルバーのアクセサリーが販売されていたし、中国では、こうしたアクセサリーが安く手に入るので、これを仕入れて日本に売ることができないかと考えたのだ。
 
とはいえ売り先も仕入れ先もまったくあても無く、相変わらず行き当たりばったりで何から手を付けて良いかわからない僕と家内はとりあえず交易会に行けばいいんじゃない?という思いつきで、インターネットで交易会の情報を調べ、東京で行われる宝石・アクセサリー展示・交易会に参加した。参加したといってもブースを構えたわけでもなく、ただみにいっただけなのだが。
 
会社を立ち上げて初めての出張、飛行機のチケットも安くはない、お金がないのでとりあえず実家に戻り、夜行バスで大阪を夜中に出発、明け方に東京に到着、東京滞在中は友人の家に寝泊まりした、会社を立ち上げたという話はこの時点で僕と家内以外誰も知らず、今回の出張で初めて泊めてくれた友人に、会社を立ち上げたこと、まだ何をするか決まっていないこと等を打ち明けたのだが、日本人特有の優しい対応で「へえ、会社立ち上げるなんてすごいねえ」などと言ってくれるものの、
 
「こいつ頭おかしくなったんじゃねえの?」
 
と心の中では思っているんじゃないかというような視線がはっきりいってつらかった。友人は多分そういうことは考えていないのだと思うけども(いや、思っているかもしれないけど)、迷走中の僕にとってはどんな優しい声や視線をなげかけられても、そのときはそんなコンプレックスを感じずにはいられなかった。
 
友人にお礼を言って朝早く出発し、でっかいスーツケースをかかえて東京のすさまじいラッシュの電車に乗り、他のお客さんの「ラッシュにスーツケースで入ってくんなよ」という批難を目をスルーしつつ、汗だくになりながら東京ビックサイトに到着、会場にはコインロッカーもないので、スーツケースを引っ張りながら会場に入った。知らない人がみたらスーツケースかかえて、その場で買う気満々のバイヤーにみえたかもしれない。
 
会場は已に人がいっぱいで、しかもものすごい数のブースが並んでおり、こういう交易会に初めて参加した僕はその迫力に圧倒されたが、急にうれしくなっていろいろなブースを見て回った。
 
宝石やアクセサリーの取引の経験があるわけでもない僕は、結局ブースを見て回るくらいしかすることがなく、ブースに陣取っている奇麗なお姉さんに「この製品はおいくらですか?」と聞いてみるくらいしかできなかったが、値段を聞くと確かに中国で売られているシルバーアクセサリーよりも相当に高かったことを覚えている。
 
そして何より、外国人が多くて聞こえてくるのはみな英語、上海に留学していたので、外国人はみなれていたつもりだったが、あんなに大勢の外国人(欧米人、中東系の人、インド人、そのほかアジアの人)をみたのは初めてで、にもかかわらず、僕はやたら中東系の人に声をかけられた。
 
親切な男性と少しのつたない会話でわかったことは、僕がウイグル人に似ているらしく、思わず声をかけたということらしい、その彼に「会社を立ち上げて、商売をやろうと思っているんだ」という話をすると、
 
へえ、そいつはすばらしいねえ、兄さんみたいに若いうちに始めたらきっとうまくいくよ
 
と爽やかな笑顔で励ましてくれた。
 
 
結局、交易会では商売のきっかけも作れず、ブースを見て回り、たくさん外国人を眺めただけで終わったのだけれども、この会場で出会った親切な中東の人からもらった励ましの言葉は、その後本気で、危機感をもって中国で商売をしようと決心したきっかけになっているのだから、このおじさんには今でも感謝していたりする。

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このページは、qianlanが2010年9月 4日 12:19に書いたブログ記事です。

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