数々の問題に遭遇した僕の中国国内旅行の中でも、あれは本当に一歩間違えれば死んでいたかもしれないということがあった。
それは、友人と2人で新疆ウイグル自治区を旅したときだ、現在のような独立運動や動乱も無く、天然資源の宝庫ともみられていなかった当時の新疆ウイグル自治区はなんだかとてものんびりしていた印象がある。甘粛省から新疆ウイグル地区に入るバスはドイツ車真っ青のガッチガチのセッティング、というよりサスペンションがついてないのではないかというようなポンコツで、一定距離を走るたびに、バスの上に積載している荷物が路上に落下してしまい、それを取りに戻るということを繰り返していた。
ともかく、やっとのことで新疆ウイグル自治区の中心都市ウルムチに着いた。新疆ということで、友人と私の2人は、シルクロードなイメージと期待に胸をふくらませて街に入ったのだが、ウルムチは漢人が非常に多くて、意外に普通の中国の街だったことにがっかりした覚えがある。
中国の西の端まで来て普通の街だけみても仕方がないということで、友人と私の2人は更に進んでトルファンに移動した。このトルファンが当たりだった、まさに我々が思うシルクロードの街、サスペンション無しのバスは相変わらずだが、街の至るところにブドウが生っている、街ゆく人はみなエキゾチックな顔立ち、どこからともなくコーランのお祈りの音が聞こえてくる。興奮した友人と私は街中歩き回っているうちに夜泊まるホテルを予約するのを忘れてしまい、ホテル探しに大いに苦労することになった。
新疆まで来たからには、砂漠はみないと帰れないだろうということで、ようやく見つけたホテルの宿泊予約もそこそこに、ロビーの支配人らしき人に、この近くに砂漠はありますか?という何とも間の抜けた質問をしてみた。この支配人風のウイグル人のおっさんがとても親切な人で(最後まで支配人かどうかは確認できなかった)、初めてならここへ行け、美しい写真が撮りたいならこっちへ行け、ドラマに出てくるような砂漠がみたいならあそこがいいといろいろと教えてくれた。
我々二人は当然、ドラマに出てくるような砂漠がみたいというので意見が一致し、ホテルからそれほど遠くない距離にある(それでもバスで6時間)砂漠公園と呼ばれるところへ行ってみた。
砂漠公園という名前から、それなりに国立公園のような景色を想像して行ってみたのだが、見渡す限りの砂漠の中に、ぽつんとドラえもんのどこでもドアのような木枠と砂漠公園と書かれた木枠が建てられているだけだった。
その木枠の横にこれまたぽつんと砂漠が似合いそうなおっさんがラバのような生き物をつれて椅子に座っていたので、このおっさんに「ここは砂漠公園ですか?」と聞いてみると、「そうです、ここが砂漠公園です、入場料は20元です。」という抑揚の無い答えが帰ってきた。でも、砂漠公園とは言いながら見渡す限りの砂漠で、木枠のような入り口はここにしかない。「迂回したら、無料なんじゃ?」とうっすらとは思ったが、どこまでも続く広大な砂漠に感動し、興奮し、冷静な判断ができなくなっていた友人と僕は、20元を支払って、律儀にもこの木枠から裁くに入場した。
確かに砂漠はすごかった。四方八方が全て砂、しかもきめ細かいさらさらの砂、支配人風のおっさんが言っていたことは本当だった、友人と僕は砂漠のものすごい存在感と迫力に圧倒されて、しばしその無数の砂が作り出した巨大な海の中にたたずんでいた。
一体どのくらいの時間が過ぎたのだろうと腕時計をみてみると、30分しか過ぎていなかった。
これから砂漠へ行く人には申し訳ないんですけど、すみません30分くらいで飽きてきます砂漠・・・・・・
中国激闘記(8)に続きます
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