中国では「小さく始めて、大きく育てる」は難しい
本気度というのは気持ちだけにとどまらない。どれだけの人間を投入するのか、どれだけの予算を投入するのか、どれだけ最高の製品を投入するのか、中国は今世界で最も競争が激しい市場であり、世界の名だたるグローバル企業が"覚悟"をもって乗り込んでくるところである。そんな市場で成功しようと思ったら"小さく始めて、大きく育てる"なんて悠長なことは言っていられない、小さく始めて芽があるとわかるとあっという間に競争相手に真似されて出し抜かれることになる。著作権や知的財産権の管理が先進国に比べて進んでいない中国ではアイデアやデザインを盗まれたとしても、それに文句を言う話の持っていき所はないのである。だとすれば、本当に中国で成功したいと思うなら、"大きく始めて、巨大に育てる"計画がなければ、理想的な成功は望めないし、結果として"労多くして功少なし"になってしまう可能性が高い。
繰り返しになるが、世界のプレイヤーが今中国市場を目指している。企業も、ヒトも、カネも、モノも皆中国に集まってきている。ここで勝負して、更に勝利するには、並大抵の覚悟では不可能だし、"小さく始めて、大きく育てる"なんて言っていては競合他社からぬるい相手と思われても仕方無い。P&Gの中国市場での広告宣伝予算は、言うまでもなく巨大である、中国の家電量販店チェーン蘇寧電器はついにトップの国美を業績で抜いたが、同社の新店舗開店速度は一日二店舗という速度である。キャリア大手チャイナモバイルの09年の純利益は1兆5,200億円である。SAMSUNGは中国の3G時代を見据えて携帯電話領域でとんでもない規模で開発予算を投じている。化粧品大手LOREALはアジアの拠点をシンガポールから上海に移し、中国の大学と提携して優秀な学生を青田買いして、自社の研究開発センターで育成している。次世代鉄道入札のために、SIMENSは自国の首相を中国に連れてくる。こんな市場で、"小さく始めて、大きく育てる"が果たして通用するだろうか。そうしたアプローチを否定するものではないが、こと中国市場ということで言えば、成功の可能性は薄いと言わざるを得ない。
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