中国の人は優秀な方はとびっきりの一級品です。前回の「中国にマーケッターは存在するか?」に書いた内容については議論の余地はあるわけですが、少なくとも実務遂行能力の
高さという点は疑いなく高い人たちが多いと思います。
当然こうした優秀な人たちは欧米企業であったり、日本企業であったり、大手国営企業に入社することが多いわけですが、時々交通事故のように弊社にも入ってきたりします。
このような人材を得た場合、会社全体の作業効率の上昇は目を見張るものがあり、30人程度の弊社であれば、そうした人材が2人マネージャーでつけば、私いらないのでは?と思うくらい仕事が回ります。
ただ、大きな会社であればそうした優秀な人材は自発的に社内での昇進を目指して努力してゆくことになると思いますが、小さな会社でこうした優秀な人材をつなぎ止めておくのは大変な労力を必要としますし、そこまでの労力を払ってもやはり流出は避けられないことが多いのです。
こうした人材のモチベーションを維持する方法としては、それは昇進であったり、重要な仕事を任せることであったりするわけですが、難しいのは中国では特に”できる人”ほど独立志向が強く、チャンスがあれば自分で起業しようと考える人が多いことです。重要な仕事をまかせるということは結果として自社のノウハウをその人に教え込むことになりますから、そうしたノウハウを獲得した上で退職独立起業というのでは、みすみす競合を育ててしまうことになり泣くに泣けません。
芽がありそうな新卒を雇って、仕事のいろはを教えこむとやっと使えるようになったところで他の大手企業に転職されるというお話を最近いろいろな中国の中小企業の社長さんから聞きますが、小さな会社が大企業のための人材育成の場になっているのはなんだか少し悲しいですね。
こういう現実があるため、企業では(特に中小企業)人を雇う場合基本的に経験者を優先します。
経験者(当該業界の経験だけでなく、仕事一通りのマナーという意味)を雇用することの
メリットとしては、
1,育てるコストの削減
2,経験者、特に優秀な経験者がもたらす様々なノウハウによる会社全体の底上げ
3,新しい顧客の開拓
等があげられます。
多くの社長さんの本音を言えば、優秀な経験者が入社し、仮に3年でまた他の会社に転職してしまうとしても、この3年間でこの人材を使えるだけ使い倒して元を取ってやろうというのは偽らざる心情だと思います。
人を育てる余裕、能力のある大手企業の就職口には限りがあるわけですから、多くの中小企業が基本的に経験者を優先するという現状では、新卒生の凄まじい就職難というのも致し方ないところなのかもしれません。
ただ、この方法には落とし穴があって、というよりも少し考えればわかるのですが、人材が弾切れを起こします。経験者で優秀な方というのは数が限られています。そして、当然のことながらどんなに優秀で経験のある方であっても最初は未経験者だったはずですから、誰かがこの未経験者を育てるということをしないと、長期的にみて優秀な経験者というが供給されなくなってしまう可能性が高くなります。
その徴候は既にあって、ヘッドハンティングの会社に勤めている方に話を聞くと、マネージャー職の給与が暴騰しているそうです。どんなにお金を積んでも人が見つからない状況だそうで、極端な例だと、月20,000元提示しても人がいないということもあるようです。
優秀な人材の不足と学生の就職難は両者が連動して発生しているものですが、更にここに中国特有の問題が存在します。この問題については次回「中国における”王将と歩の将棋”」で触れたいと思います。
2011年6月
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